高度情報化社会を実現するネットワーク環境が整うにつれて、最近では様々なサービスがインターネットを通じて利用されており、時として思いがけないトラブルから、甚大な損害を引き起こすことがあり、インフラエンジニアが活躍する場面も広がっています。
ユーザ系事業会社の基盤エンジニアやSI系企業のインフラエンジニアの場合、ミドルウェア・OS/ネットワーク・BIOS/ハイパーバイザ等の基礎領域・CPUやメモリやディスクといったハードウェアに関する業務が中心です。
このような業務内容を持つインフラエンジニアは、ともすれば実績が見えにくいというのが難点です。例えば事業会社のサービス企画であれば、より良いサービスを実現すべく、様々な工夫を凝らし、アプリケーションエンジニアがそれを反映した新たなサービスを実現させるものです。このため目に見える成果が上がれば、それがそのまま実績として比較的分かりやすいといえます。あるいはメーカー系インフラエンジニアであれば、自らの創意工夫の結晶である自社製品のシェア拡大や売り上げ拡大が、そのまま実績といえます。
それに対してSI系企業インフラエンジニアであれば、クライアント企業から受注あるいは担当したアカウントやサーバ台数などの数字を実績と勘案して良いとも考えられます。しかしユーザ系事業会社の基盤エンジニアの場合、最初のサービス構築やアップグレードやリプレースなどであれば、大きな実績として評価されるのは当然ですが、安定運用中のサービスの場合には実績が見えにくくなります。従って減点法を採用する例もあれば、業務に関わる資格の取得を評価するなど、企業も頭を悩ませているようです。
またインフラエンジニアには、一概にそのスキルを計る物差しが存在しないという特殊性があります。例えばインフラの構築には機器の調達が含まれていますが、これはそのための予算を獲得するために決済を求めたり、その調達のための交渉やスケジュールを立てたりと、他の業務とは異なるスキルが求められるのです。
このように「縁の下の力持ち」という役割を担うインフラエンジニアのキャリアパスを考えると、企業ごとにどのような実務経験を身に付けることができるのかといった、業界研究が欠かせません。かつては大規模かつ高度なシステムの安定的な稼働が重要視される、大規模な金融系システムや鉄道会社系の旅客券発行や運行システムなどが日本一とされた時代もありましたが、このようなシステムは業界標準となる可能性が高く、貴重な現場経験を豊富に積むことができるものです。その一方で、カスタマイズされたシステムを求める企業であれば、創意工夫を活かすチャンスになります。